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【インタビュー】ugoが現場で愛される3つの理由

はじめまして、ugo Tech Blog編集部です。編集部として、ugoメンバーにインタビューを行いugoの特徴をより皆さまに知っていただこうと思います。

編集部インタビューシリーズ第一回は、白川 徹 取締役CDOです。


ugoが現場で愛される理由とは?


ーーugoは現場で愛されている、馴染んでいると聞きますが、なぜ馴染んでいるのでしょうか?

白川 徹さん(以下、白川。):そうですね、いろんな現場にugoを迎えていただき、とてもうまく溶け込んでいると感じています。特に介護の現場で働くugoは、名前を付けてもらったり、季節に合わせた装飾をしてもらったり、すごく愛されているなと思っております。

参考:ツクイ・サンシャイン横浜野毛

その理由のひとつとして、ugoが顔があるロボットであることが愛される効果につながっていると思います。顔があるかないかでは、ロボットに話しかけられたり、話したりするのに、人の受け入れられ方がまったく違います。人と人と同じで、やはりコミュニケーションにおいて人は相手の顔を見てコミュニケーションを取ります。人とロボットの場合でも、顔をみてコミュニケーションを取れるのが、自然なのです。

ーー顔をどうするかは、試行錯誤があったのでしょうか?

白川:もちろんです!いろいろ試しましたし、研究もしました。

顔はロボットの印象を左右する重要なパーツなので、特に注意深くデザインしました。懐かしさと未来感を同時に与える印象になるような工夫をしています。みんなの心の中にあるロボットのイメージにすっと合致する最適解の顔を目指しました。顔がLEDドットマトリクスディスプレイなのも、試行錯誤の結果ですね。

高解像度のタッチパネルディスプレイが顔になっているロボットも数多くありますが、ugoにおいてはあえて解像度の低いLEDドットマトリクスディスプレイを採用することでugoらしい印象的な表情を演出できました。

しかしながらugoでは、ugo Exという顔無しのモデルもラインアップしています。これは、ugoの中ではまったく違う印象を与えるプロダクトになっています。

ーーugo Exはどんな現場で使われているのですか?

白川:ugo Exは、おもに対人ではなく、対物用途に使われております。工場や、プラント、倉庫など人との接触がない現場で、ファンクショナルな用途で使われています。メーターの読み取りや、設備の異常点検など、用途がはっきりしたインテグレーションに向けたモデルです。



ーー東北電力発電所は、ugo Rなんですね。この現場はコミュニケーションがないと思ったのですが?

東北電力、上越火力発電所にてugoの運用を開始~営業運転中の発電所内を定常点検~

白川:そうなんです、実は私も予想外だったのですが、点検という対物のugoの用途であっても、現場では人が働いているので、同じ空間に一緒にいることを考えると、やはり顔つきモデルをご希望されるケースが多いのには驚きました。導入者もやはり人。対話しないまでも、人の空間に馴染むかどうかは非常に重要だと改めて感じます。

ーー顔以外に愛されるためのポイントってほかにはあるものでしょうか?

白川:心理的に同じ空間に受け入れていただける佇まいであることです。そのためには製品としての完成度も非常に重要です。

外観としては未完成っぽい要素が少ないこと。たとえば、配線が見えているとか、内部機構がむき出しとか、そういう部分は視覚的なノイズになります。ロボットという複雑な製品ながらも、視覚的な構成要素をできるだけ整理して洗練させていくことが製品の完成度を高めます。

最近の歯科医の設備や病院のMRIなどはできるだけ不安を感じないように柔和で洗練されたデザインになっていますが、たとえばこれら医療機器の内部機構がむき出しだと、大丈夫かなと不安になりますよね?

誰のため、何のためのロボットなのか考えると、数値には現れない「印象」という要素も重要になります。

ーー白川さんって、ずっとロボットだけ作ってるわけではないですよね?

白川:そうですね。キャリアのなかで、ロボット以外のものの方を多く作っています。いままで、モーターを使った複雑な機構設計や、IoT機器、電子タバコ、農地センサーから食器まで数十種類のプロダクト開発に携わってきました。

その中で、ロボットにも共通するプロダクトデザインの大切なことを学んだと思っています。その要素をugoでも遺憾なく発揮しています。すべて共通して言えるのが、結局のところ「便利に動いてくれること」が一番重要ということですね。

ーーugoを設計する上で心がけたことは?

白川:ugoは、コストを非常に重要視しました。等身大ロボットは高いものが多い。アクチュエータの数や、位置精度のための高剛性な構造からして当然です。

しかし、スペックがそこそこで良ければコストは大きく抑えられます。そこにニーズがあると考えました。さらに現場で愛される工夫。機能やスペックだけを追わず、ビジネスとして成立するギリギリを攻めた設計になっています。

そこのバランス感覚や設計的発想は、受託開発で培われたものですね。