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ugoの日々の開発・生産について

アバターロボットのコンセプトデザイン

こんにちは、松井です。

今回は、ugoが今のコンセプトや製品デザインに辿り着くまでに、どのような過程を経ていったかについてご紹介したいと思います。

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そもそも、なぜアバターロボットを作ろうと思ったのか、そこからお話させてください。

きっかけ①:IoTの先

みなさん、"IoT"というキーワードはご存知でしょうか? "Internet of Things(モノのインターネット)"の略称で、身の回りにある様々なモノがネットワークにつながって便利に操作できるようになったり、状態を把握できたり、モノ同士を連携させたりすることができます。更にはスマート化とも言われているような、ビッグデータやAIとの組合せにより最適化や自律化へと発展していきます。

据置のモノがどんどんネットワークにつながって使えるようになると、モノとモノとの間を物理的に取り持つ役割が必要になってきます。ネットワーク化されたモノがある空間で人が常駐してそれらを橋渡ししていては本末転倒ですね。その役割に応えられる可能性があるのがモノとモノをつなぐロボットなのではないかと考えるようになりました。

アバターロボットの可能性

2010年代のロボットには、PepperのようなAIで対話ができる人型ロボットや、Double2のようなテレプレゼンスロボットやアバター(分身)ロボットが既に存在していましたが、その多くはコミュニケーション用途でした。

IoTの概念では、モノや空間が、最適化・自律化していく中で、物理的な作用もできるアバターロボットという人の分身としての存在が入ることで、相互補完的なバランスの取れた構成が実現できることになります。

きっかけ②:中国・深センと日本の状況

2010年代はMAKERムーブメントによって「ものづくり」は新しい時代に突入していました。多くの電子機器が中国で製造されるようになってから、ものづくりのノウハウやサプライチェーンは産業の成長と共にその地に根付いていきました。その中でも「紅いシリコンバレー」と呼ばれる深センは、若くて優秀な人材が集まり、工場だけでなく多くのIT企業も集まり、急速に成長しています。(私自身もハードウェアの量産で何度も深センを訪れて肌身で感じました。)

一方で、かつてものづくり大国と言われた日本は、ものづくりの技術は海外へ流出し続け、スペックアップの製品作りばかりしていたことで海外の製品とコスト競争になったり、海外の革新的な製品に負けてしまうような状況になりつつあります。更には、2008年以降人口減少し続けており、若い働き手も不足し超高齢化社会を迎えようとしています。

そういった背景の中、日本の社会課題を解決する、新しいタイプのアバターロボットを開発しようと、2018年に起業しました。

コンセプトデザイン

今でこそ様々な施設の中で働く業務DXロボットとして展開しているugoですが、創業当初は、家の中で働くお手伝いロボットを目指していました。家の中ということで、狭い廊下や階段・段差も越えて移動する必要があることも想定して、様々なロボットの形状を検討しました。

まるでアニメや漫画を企画するかのような進め方かもしれませんが、私達が生活する空間の中で働くロボットを具体的にイメージするために、カナダ在住のVisual Stroryboard ArtistであるColin Searleさんに初期のコンセプトアートの制作をオファーしました。

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※ ロボットのボディに「MIRA」と書いてあるのは、「ugo」という名前が決まる前は、Mira Roboticsという社名だったため。

 

ライフスタイル/ワークスタイル駆動のデザインプロセス

ロボットのイメージを検討開始した頃、ロボットが活躍するシーンをいくつか設定し、遠隔地からロボットを操縦するオペレーターがロボットを通してロボットと同じ空間にいる人々とどのようなライフスタイル/ワークスタイルを築いていくのかといったことを想像しながらコンセプト作りをしていました。

シーン1)Living with robotf:id:ugo_robot:20220214001738j:plain

ひとり暮らしをするお年寄りの家で、遠隔地にいるオペレーターがロボットに指示をしながら生活上の様々なタスクをお手伝いするシーン。洗濯機や食洗機のような作業をするだけの役割(機械)ではない"つながり"ある存在感が生まれます。

シーン2)Securityf:id:ugo_robot:20220214001659j:plain

今では実現されている警備用途は、創業当初のコンセプトデザインでも様々な場所をリモート監視する警備ロボットとして描いていました。

シーン3)Co-workingf:id:ugo_robot:20220214001817j:plain

こちらは、工場や製造現場で、遠隔地にいる専門家スタッフが、ロボットを通して現場にいるスタッフと一緒に仕事をしているシーンです。遠隔地にいても自分の分身であるロボットを操作して、現地にいる同僚とコミュニケーションをとる様子は、グローバルに活躍する専門スキルを持った人々の新しいワークスタイルになっていくと考えました。

 

ロボットの開発者からすると「このロボットは何をするロボットで、こんな機能が必要だからこのセンサーを入れて...」といった機能的要素からロボットの構成要素を考えてしまいがちです。私も元々はエンジニアなので、その気持ちはとても良くわかります。

今回、Visual Stroryboard Artistの方に入っていただいたのも、そういったエンジニア視点の検討プロセスではなく、私達が目指している世界観・ビジョンからコンセプトに落とし込むことを重視したデザインプロセスにしたことは、振り返ってみて、その後の多くの仲間や共感者を巻き込むきっかけとして影響があったのではないかと感じています。

 

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